バルナックライカ奮闘記1
前回のブログでバルナックライカを気長に探すと書きましたが、インターネットでいろいろ調べると案外容易く手に入りそうな感じなので、あとは何処で入手するかが決め手となりそうです。古いものなので店頭で見定めて買いたいという思いがあり、クラシックカメラで定評のあるカメラ店を調べてみて、どんなものなのか足を運んでみることにしました。
創業68年という早田カメラ店のドアを叩くと丁度、店主が二眼レフカメラを修理しているところに恐る恐る声をかけてみる。「バルナックライカ Ⅲfを買いたいと思ってるのですが…」「Ⅲfは玉数が多いからいろいろあるよ、どんなのが欲しいの?」「最後のカメラにしたいと思ってます」「それなら綺麗な方が良いね。こっちは殆ど傷がないから高いけど、普通に使うならこっちの方が良いんじゃない?」と言って若干傷はあるものの60年前のものとは思えないほど綺麗なⅢfを取り出す。店主は「レンズはバルナックならエルマーでしょ!」と当然の様に沈胴式のレンズを1本セレクトしている。それそれ、それが欲しい!なんて心の中で思いながら値段を聞くと二つ合わせても想定内である。初めて触るバルナックライカ に緊張しながらバルナックライカの使い方の説明を受ける。
店主がおもむろにフィルムのパッケージを開けて「バルナックライカはフィルムの装填が特殊だからね」と言いながらフィルムをカットしてカメラに装填し始めた。ネットで色々調べたのでフィルムをカットする方法やそのまま装填する方法は勿論勉強済みだ。「フィルムをカットしないで装填する人もいますよね?」の問いに「フィルムが切れて残骸がカメラに残るから絶対にカットしないとダメだよ!」って教えられる。なるほど、聞いていなければカットしない方法を選択してただろう。
「ところでバルナックライカのオーバーホールは幾らかかるのですか?」「うちで買ってもらったカメラは生涯無料で診ますよ、調子悪いと思ったら何時でも持って来て!そんなに壊れるものじゃないけど5年に一度位は診た方がいいかな?」おぉ、なんて素晴らしい、流石、自身が職人だと違うなあ...ユンヌピエールアンプリュスもこうでなくちゃいけないなあ、デザイン画なら何時でも何枚でもタダで描いてあげられるのになあ...そんなことを考えながら店主長生きしてくれよ!などと思っていましたが、現在は三代目が職人としてきっちり後を継がれています。
あれこれ雑談しながら「このレンズには保護フィルターとフードが要るね!」などと言いながら革のネックストラップと共に装着している店主を頼もしく見ていました。
つづく