
アルバム・アートワーク
CDやストリーミングでは味わえない魅力のひとつが、LPレコードの「アートワーク」だと思います。ジャケットを手に取った瞬間の重量感、紙の手触り、印刷の発色。それだけで音楽が“モノ”として存在していることを実感します。音だけでなく、視覚や触覚を通して作品と向き合う感覚。まるで音楽が、目に見えるかたちで語りかけてくるようです。
お気に入りのアルバムを飾ると、それだけで部屋の雰囲気が少し変わる気がします。どのジャケットも、そのアルバムの音と同じように特別で、時代の空気を閉じ込めた小さなアートピース。ジャケットが好きだから音楽も好きになる。またその逆もしかりで、LPジャケットは、聴く前から音楽が語りかけてくるような、不思議な力を持っています。
ジャケットを眺めていると、当時の空気や街の匂い、聴いていた季節の光景までよみがえることがあります。アーティストの思想や美意識が、音と同じくらい濃密に詰まっている。だからこそ、LPはただの再生メディアではなく、音楽とアートが融合した“体験”なのです。
私が音楽をアナログレコードで聴く理由は、音の深みや温かさはもちろん、ジャケットを手に取る瞬間から始まる、音楽との対話があるから。聴くという行為が、もっと丁寧で、もっと豊かになるからです。









