T様より「夫の誕生日に、オリジナルの贈り物を考えているんです」と、ご連絡をいただきました。前回、夫様からオーダーで制作したアイススケート靴のペンダントをプレゼントされ、今回はそのお返しとして、特別な一品を贈りたいとのことでした。ご趣味が多く、感性の豊かなご夫妻ですので、どのようなご依頼をいただけるのか、私たちも楽しみにしておりました。

夫様がライフワークとして、地元のバレエ団の公演にキャラクターダンサーとして出演されていることは以前から伺っておりましたが、「不思議の国のアリス」の演目で、マッドハッター役を長年演じていらっしゃることから「シルクハットのカフリンクスは作れますか？」というご相談とともに、実際の舞台写真やシルクハットのお写真を何枚かお送りいただきました。

「狂ったお茶会」の場面で初登場する奇天烈な帽子屋 " The Mad Hatter "

実際に舞台で被ってらっしゃる帽子のお写真

夫様の舞台でのお姿、シルクハットのディテール、そして私たちがご用意したロイヤルバレエ団の舞台写真などを一緒に眺めながら、会話は自然と盛り上がり、イメージが形になっていきました。

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ルイス・キャロルの原作に登場する挿絵や、実際のシルクハットのフォルムを参考にしながら、「In this Style 10/6（この型 10シリング6ペンス）」と書かれた値札も忠実に再現。素材にはシルバーを使用し、重さを抑えつつ、シルクハットの質感を表現するために表面は艶消しで仕上げました。

完成したカフリンクスをご覧になった瞬間、ご夫妻は「これは素晴らしい！ハットの形もさることながら、ブリムのカーブがとてもリアルで素敵ですね」「艶消しの仕上げが絶妙なニュアンスで良かったです」と、感激のご様子でした。
暑い中にもかかわらず、ダブル・カフスのシャツを着てご来店くださり、実際に装着していただきましたが、サイズ感もぴったりで、全体のバランスも非常に美しく仕上がりました。

“世界にひとつのカフリンクス”
夫様へのお誕生日プレゼントとして、心に残る特別な逸品となりましたね。